高い窓の下、たくさんの花が咲いていた。
その窓を見上げると男が顔出して何かを放り捨てている。
ドサッ。バタン。
嫌な音だと思う。

女は今日もか。と思い赤い花に近づく。
近づくたびに赤い花と思われていたのは……人の死体。
高い建物の周りには人の死体がたくさん転がっていた。
足の踏み場はなかったのに女の前だけ死体がなく道ができていた。

死体の顔は苦痛に歪められていたり顔がなく体だけになっていたり体は自分の血なのか他人の血なのかわからないけど赤くなっていた。

神様に逆らったらみなこうなる。
たとえ、知り合い友人、家族でも。もちろんいつ自分もこうなるかわからない。
会いに来るたび緊張して神様に接している。
建物の前まで来ると勝手に扉が開いた。

「!?」

「待ってたよ」

中から扉が開いたのだ。
両手を広げ胸に飛び込んでほしいと笑顔で言う男。

「え?」

女は躊躇った。
男の服には赤い血が、今まで誰かを殺めていたんだ。

「来い!!」

しかたなくゆっくりと胸に抱きしめられ男は優しくでも逃がさないように腕に力を入れ女を自分に向かせ、唇を奪う。

わたくしもこの人から逃げれない。

キスは熱く寂しく感じる。