(未定)

わたくしはいつもそう。
目の前で誰かが迅に殴られて蹴られても助けることができない。
今もそうなの?

――違う。

と、思っているのに足がいうこときいてくれない。
わたくしは、あの人のことを怖く感じてるの?
……じゃ、どうして離れられないの……?

「助けてやろうか?」

はっとして横を見ると猫が見ていた。

「暉……。
迅に立ち向かえるの?」

「さぁな。
迷ってる時間はないだろ」

「……」

手加減なしにお腹を蹴られて逃げることすらできない祀莉。
確かに、暉の言う通り迷ってたら祀莉が死んでしまう。

「お願い、暉。
祀莉さんを助けて……指輪も、取り返して……お願い」

「指輪も、か。
できなくても文句は言うなよ」

返事を聞かず暉は迅のもとへ走り爪を出し顔に向かい引っ掻こうとしたが男は暉をはたき倒した。

「ギャニャー」

「暉!?」

急いで暉のもとに駆け寄り抱きしめ迅を睨む。

「祀莉さんを解放してあげて」

暉の頭を撫でながら言う。

「……オレよりこの女とこれが大事か」

「……大事よ。
わたくしには指輪がどいう意味で大事がわからない。
でも、祀莉さんはあなたと同じように大事な人。
お願い、離して……迅……神様……」