「礼儀知らずでごめんなさいね」

正座して床に頭をつけ暉の変わりに謝る。

「や、私は……気にしてない。
だから頭を上げて」

「本当に許してくれるの?」

良かった。と笑顔をで言われ、互いに笑い出した。

「妃乎さん。
どうして指輪を私に託すの?」

「……」

横に顔を背けため息を落とす。
妃乎は左手の薬指を撫でいつの間にか指輪が妃乎の指に嵌っていた。

不思議に思うが心のどこかでこの、神谷家に来たときから自然と指輪はこの人のもとに戻るのかな?とチラッと思っていた。
指に嵌っている指輪を祀莉に「ほら」と見せると、指輪がキラ〜ンと一瞬光ったような気がした。

「やっぱり、この指輪は……」

一瞬目を閉じ再び目を開くと指輪が空(くう)に浮いていた。
それを目で追うと広い庭の真ん中に一人の男性が立って指輪を掌の上でゆらゆらと浮いて光りも収まっている。

「迅……」

妃乎は立ち上がり一歩、一歩近づきそんな……と、ショックを受けた。