『ガチャン』
「…はっ…」
蒼空は物音で目が覚めた。
『キィ…バタンッ…ガチャン』
扉が開いて閉じる音だ。
蒼空は寝起きで頭がぼぉーっしていた。
〔……ここ…どこ……?〕
『タスッ、タスッ、タスッ、タスッ』
〔誰かの足音…〕
『ガタンッ、ドサッ!』
〔何?〕
「はーっ…」
その溜め息で、蒼空は一気に覚醒した。
〔っ…!!そうだった!!〕
蒼空は資材室で寝てしまったことを思い出した。
〔ヤバい!っていうか誰が来たの!?〕
隣の生徒会室に誰かが入って来たのだ。
蒼空は自分の身体から血の気が引く音が聞こえたような気がした。
〔今動くのは危険よね…〕
生徒会室と資材室は薄い壁で仕切られてるようだ。
生徒会室の音が丸聞こえということは、資材室の音も丸聞こえということだ。
今慌てて資材室から出ようとすれば、確実に気付かれる。
蒼空はなるべく身動きせず、気配を消すようにした。
『ドサッ…ドサッ…』
隣の主は何かをテーブルに置いたようだ。
「ったく…どうしてああも人任せにするんだよ。」
その声に蒼空は硬直した。
〔駒居君!!〕
優羽がどうやらまた授業を抜けて、生徒会室にやってきたようだ。
「何であんな奴が教師をやってるんだ。あんなのが教師になれる程、最近は学力が低下してるのか。世も末だな。」
〔………え?………〕
蒼空は自分の耳を疑った。
声は確かに優羽なのだが…。
「だから馬鹿は嫌いなんだよ…。あんなのと話すると馬鹿が移る。」
普段の優羽からは想像する事もできない発言が聞こえてきたのだ。
〔えぇーっ!?〕
これが優等生駒居優羽の裏の顔を知った瞬間だった。