蒼空は次の日、4階建ての別棟を隈無く歩いた。



その結果、別棟で使われているのは三階のあの重厚感満載の部屋と、その隣の二部屋だけのようだ。



優羽がシャボン玉をしていた部屋は、灯りの点いていた部屋の隣りにあった。


扉には『資材室』の札が付いていた。



「…資材室?」



前日は木の扉に気を取られて気付かなかったが、やはりその隣にもう一つ部屋があった。



資材室と記された部屋は、隣の木の扉に比べて重厚感は無いものの、歴とした木の扉だ。



ただ…



「資材室にしては立派すぎない?」



蒼空は二つ並んだ木の扉に、違和感を感じた。



人の出入りがほとんど無い別棟に、生徒が使用するには立派すぎる部屋。



「そもそも、なんで駒居君がいたのかしら。」



蒼空は優羽の行動を解明しようと思っていたのに、疑問がさらに増えてしまった。



今は授業中で、優羽が教室に居ることを確認してから授業を欠席したので、恐らくこの部屋は現在無人。



蒼空は資材室のドアノブに手をかけ回した。



しかし、他の部屋と同様に鍵が掛かっている。



「だよねー…」



蒼空は溜め息をついた。



「なんでこんなに厳重っぽく鍵かけてるんだろ?」



蒼空はもう一度ドアノブを握った。



そして、ドアノブを回しながら扉を押してみた。



「…っこうして…開いたり…しないよねっ…」




『ガチャン』




鍵がズレて、資材室の扉が開いた。



「…開いた…」




蒼空は以前、テレビで見た刑事ドラマの泥棒役の人に感謝した。