一限目の授業が終了して校内がざわめきだした時、蒼空は担任から職員室に来るように呼ばれた。



〔来年のクラス変更のことかなー…〕



職員室に向かう足取りは重かったが、これは逃げることができない、明確にしないといけないことなのだ。




担任のもとに行くと、案の定進級について懇々と言われた。



学園としては蒼空は優羽と同様、成績優秀で学園の評価を上げてくれる生徒なのだ。



その生徒がレベルを下げ、よりによって学園最下位組に行こうとすれば止めに入るのは当然の事だ。



例え理由が体調不良であっても、なんとか考え直すように説き伏せてくる。



生徒個人を見て、生徒の事を想って話しているように見えるが…。



〔なんて学園本位の考え方なんだろう…〕



担任の必死に説得する姿をみている内に、蒼空は不快を感じた。



「どうだ佐渡、お前ならきっと頑張ればまだまだ追いつけるし、上位に入ってこれるぞ。勿体ないと思わないか?体調の事もあるだろうが、ここで諦めるのか?」



もっともな事を言っているように聞こえるが、蒼空は腹立たしくなった。



「頑張れるのなら頑張りますが、それが出来ないので申請をしたんです。命を削ってでも、学園の為に貢献しろと仰るのですか、先生?」



担任は蒼空の言葉に返事をする事ができなかった。


蒼空は「失礼します」と頭を下げ、職員室を出た。



〔なんなのよ!あの自己中的な発言は!〕



蒼空の心は荒れていた。



死ぬまで学園の為に頑張りなさい。そう言われたような気がした。



〔まるで捨て駒扱いされた気分だ…〕



蒼空はこの時から、学園に対して不信感を抱くようになる。