「……え?入院?」


「そう。体調不良の原因がハードな生活だけではないかもしれないの。」



検査結果を聞くために診察室に入った2人に宮野医師は話した。



「入院といっても、外来ではできない検査をするためだから。そんなに長い日数にはならないのよ?」



「…精密検査をしないといけない状態って事ですか?」



蒼空の母が聞いた。



「念の為…ですが、検査入院は絶対必要です。」



医師は優しく、しかし言葉に強い意志を含めて答えた。




精密検査を絶対にする必要がある…



その意味は蒼空の身体の中で大なり小なり、確実に何かが起こっていると捉えざるをえなかった。



病院経験がほぼ皆無の蒼空でも、医師の言葉の意味は理解できた。



しかしその言葉を受け入れる事ができず、頭の中が真っ白になってしまい思考回路が停止した感覚になった。




母と宮野医師が話をしているのは判るが、何を話しているのか…




蒼空は現実に直視する事が出来ないまま診察は終わり、母親が入院予約をしてその日は帰宅した。