「駒居君、すごいね!」


「いや、僕は何もしていないよ。ただ、決定した事に応じただけだよ。」






ざわめく中で女子生徒と優羽の会話が聞き取れた。



〔何がすごいのよ…。そして何が決定したのよ…。〕



蒼空はさらに耳を大きくした。







「選ばれる事がすごいよねー!しかもまだ一年なのに!」


「役職は決まったのか?」


「何になってもすごいことには変わりないよね!」


「頼んだぞ、生徒会役員!」


普段はあまり声を聞いたことのない特進組の生徒達の会話が飛び交った。







〔生徒会!?〕



蒼空はシャーペンを持つ手に力が入った。


そしてチラッと優羽たちをもう一度見た。



優羽の周りは、主役の優羽が入る隙間がほとんど無いような会話を興奮気味でしていたが、
それに対して優羽はにっこりスマイルで上手く交わしている。



〔……すごいなぁ…〕



蒼空は優羽のコミュニケーションテクについ見とれた。



その時、予鈴が鳴りだした。



優羽に群がっていた生徒達はそれぞれの席に戻り、優羽も蒼空の隣にやってきて席に座った。



蒼空は何も聞いていないふりをして、いつも通り自習の道具を片付けた。



〔生徒会か…〕



入学した時の条件は同じだったのに、たった半年で優羽は違う世界の人になったみたいだと感じた。