思い通りにいかず苛つきを感じながらも自習を続けていると、教室がざわめきだした。
 


〔なに?〕



蒼空は顔を上げて、生徒が集まって騒いでいる方向を見た。



教室に入ってすぐのところにできた人のかたまりの中心には優羽がいた。



優羽に近付く生徒は女子が多いが、それも普段はあまりいない。

蒼空より遥かに愛想が良く、協調性のある優羽だが、それでもやはり《過去最高得点首位入学》という肩書きが邪魔をしているのか、周りとの交流は少ないように感じていた。



それなのに今日は女子だけではなく、男子まで集まっている。



勉強以外に興味がない蒼空だが、優羽が関わると少し気になる。



〔…何事だろ…〕



蒼空は勉強をするようにまた下を向いたが、手は止めたまま優羽たちに耳を傾けた。