優羽が心の中で独り葛藤していると、猫のように丸まっていた人がモソモソ動き出した。



どこから持ってきたのか、毛布を被って顔がよく見えない。



ゆっくりと身体を起こしだすと、さらっとした赤茶色の髪が見えた。



優羽はそれを見てハッとし、そして呟いた。



「佐渡蒼空…」



その言葉にモソモソ動いていたのが止まった。



頭から毛布を被ったまま、ゆっくりと優羽のほうに向いた。



〔…やっぱり…〕



優羽は今度は心の中で呟いた。



毛布がずれて完全に顔が見えた。





驚いた表情で優羽を見つめるのは、赤茶色のロングヘアに色白の肌、大きく見開いた瞳の蒼空だった。