火照った顔を手でパタパタ扇ぎながら、蒼空は話を続けた。


「えぇ~と…で、病気が発覚してから生活制限しないといけなくなったの。」


「生活制限?」


「うん。それまでの生活は負担がかかるって言われて生活を改めたの。」


「生活を改めたって……それ……」



優羽は『生徒中間報告書』の蒼空の欄を思い出した。



「今まで通りの学習量は身体に負担が掛かるからダメ、睡眠時間をしっかりとらないとダメ。」



蒼空は少し目を潤わしながら笑った。



「特進組に居続ける為には、学年が上がるほどこれまで以上の学習量と時間が必要で…。私にはそれを続ける事は無理って…。」



蒼空の頬に涙が流れた。



「私っ…今までしてきたとが全部無駄になった気がしてっ…せっかく特進組で目標が出来たのにっ…!」


堰を切ったように蒼空は話した。



「勉強が友達で趣味も特に無い私から、勉強を退けると何が残るっていうの!?特進組にいることが出来ないのなら、学校に行っても意味がないっ!」



蒼空は興奮状態になり、呼吸が早くなっている。


優羽は見かねて椅子から立ち上がり、蒼空の隣に移動して座った。


そして少し躊躇したが覚悟を決めて、蒼空の背中を優しくさすった。


蒼空は一瞬身体を強ばらせたが、涙をハンカチで拭き、その後鼻と口元を隠した。


蒼空が早くなりだしていた呼吸を落ち着かせている間、優羽は何も出来ない自分に苛立ちながらもずっと背中をさすっていた。