「あらー優羽ちゃん、制服濡れちゃったわね~。着替えいるわね~。」

「あっ!いや…大丈夫です!」

「ダメダメ~!受験生なのに風邪ひいたら大変よ?」

「でも…」


人生初の友人宅訪問で失態を犯してしまい、優羽は完全に自分を見失い、何が正しいことなのか判断できなくなっていた。


「蒼空、お兄ちゃんの部屋から何か持ってきてあげて。」

「わかった!」

「ついでにあなたも着替えて来なさいね~。」

「うん。」



蒼空は二階に上がって行った。


「…本当にすみません。」


優羽はぺこっと頭を下げた。


「フフッ…。ごめんねぇ、びっくりさせて。」

「いえっ…そんなこと…」


優羽は顔を上げた。

そしてハッとした。


「…蒼空の事も…驚かせて…」


蒼空の母は悲しそうに微笑んだ。