「…優羽ちゃん…」

「…今日のお前は確実に保健室に行っても追い出されないぞ。」


優羽は汗を拭く手を止めて、蒼空の目を見た。


「お前、今日はもう帰れ。」


そう言うと優羽はハンカチを直し、生徒会室に戻った。


蒼空は何も言わずに身体を起こし、帰る準備を始めた。


蒼空が鞄を持って立ち上がり、資材室の出入り口に向かって歩き出したとき、優羽が中扉からもう一度資材室に入ってきた。


優羽の手には鞄が…。


蒼空はその姿を見て立ち止まった。


「帰るぞ。」


優羽は資材室から廊下に出た。