優羽は迷うことなく校内を走った。


学年棟から別棟へつながる渡り廊下に差し掛かったとき、


「駒居くん?」


声をかけられて優羽は足を止めた。


声をかけてきたのは一紗だった。


息を切らしながら、優羽は一紗を見た。


「…あいつ…はぁ…見なかったか?」

「あいつ?」


一紗は一瞬考えたが、すぐにあいつを理解した。


「スカイなら、式の後親と一緒に帰ったぞ?」


「…っはぁ…そうか…。ありがとう…。」

「あっ、おいっ!」


(やっぱり…)


優羽はまた走りだし、別棟に向かった。