蒼空は自宅のベッドに横になり、ただぼーっとしていた。


寒くなり出した11月下旬、急激に体調が悪化したのだ。


少し動くだけでも息切れがする。


食欲もなく、身体のだるさが増しているのだ。


3年の3学期は家庭学習日がほとんどで、学校には通わなくていい。


だからあと一ヶ月程頑張れば、後は卒業式まで自宅安静で良かったのに…。


その一ヶ月を耐えることができなかった。


特別処遇対象の蒼空は、学校自体の単位は問題ないのだが、自分の中で悔しい気持ちがあった。


(もう一生、駒居くんのに会えないかもしれない)


優羽と会えるのは学校だけ。


その学校にもう通う事はできないだろう。


「世の中の恋する女の子って、こんな感じなのかな…」


思いを告げることもなく終わる恋。


蒼空は腕で顔を隠した。


優羽との関係が、今まで経験した事のない心地よさで…それが壊れるのを恐れた。


保身的になったために、今、後悔の渦に飲み込まれていた。


自分には時間がないのだと…


自分の身体を憎らしく思った。