高校3年の冬。


12月も半ばに差し掛かった頃、優羽は蒼空が学校を欠席している事が気になっていた。


優羽が病気のことを知ったあとも、蒼空は登校している日は生徒会室に顔を出し、資材室で休む事をやめなかった。


本当は2人とも、なんとなく恥ずかしくて、気まずい感じはあったが、2人で過ごせる貴重な時間を無駄にしたくなかった。



お互いが言葉にしなくても感じていた。

あの日から2人の関係はなんとなく変わったと…。




そう思っていた矢先、蒼空が12月に入った頃から学校を欠席し出したのだ。


優羽は彼氏でもなければ家族でもない。


学校内で教師に聞けば、たちまち校内にねじ曲がった噂が立つのが想像できる。


かと言って、直接蒼空宅に連絡をとるのは、いくら面識があるからといってもハードルが高すぎる。


優羽は、蒼空の状態が気になっても誰にも聞くことができない状況に陥っていた。




そんなある日。



「駒居君いる?」



休み時間に優羽を訪ねてきたのは一紗だった。


追試組が特進組にやってくるのは稀なことで、教室と廊下はにわかに騒ついた。



(あいつは…)



優羽は一紗を見て立ち上がり、廊下に出た。



「ちょっといい?」

「ああ」



2人は屋上に向かった。