その内の一本を私に笑顔で差し出してくれた
「あり、がとう・・・あ、お金っ」
「良いよ」
慌ててポケットからお財布を取り出そうとするそう言いながら私の隣に腰掛ける早瀬川くん
「え、でも・・・」
そういう訳にはいかないよっ
タダでさえトレーニングの邪魔になってるんだもん、ワタシ
「じゃ、今度一ノ瀬さんに奢ってもらうから」
「・・・ッ・・うん」
"今度"
それは魔法の言葉で
繋がりのないワタシを早瀬川くんと繋いでくれる糸のようなコトバ
小さいけど
細やかだけど
出来ちゃったっ、次の約束
ワタシは、こんなちっちゃな事でもスッゴク嬉しいのに
早瀬川くんはきっと、スグ忘れちゃうんだろうなぁ・・・

