でも、仕方ないじゃん。
ずっと好きだったんだからさ…。
まあ、逃げただけだけどね。
そこは自覚してますよ、ちゃんと。
「さあ、ここからは若いお二人に任せましょう」
「え?母さん?」
「まあまあ、智尋。修二くんと会うのも久しぶりなんだから、ゆっくりお話でもしてなさい」
そ、そんな!
待ってよ、あたし修と二人になんかされたら…。
そんな願いも届かず、二人きりにされたあたしたち。
「………」
「………」
気まずい。気まずすぎる。
だって、5年近く会ってなかったんだから当たり前よ。
「げ、元気だったか?」
「…うん」
「そ、そうか…」
ほら、修だってとまどってるじゃない。
黙って引っ越したし行き先も黙ってて。
尚且つ、知ってる人全員に口止めしたくらい。
それだけ、修から離れたかったのに
なんで、あたしはここにいるのやら。
「どこに…いたんだ?」
「…うん、ちょっと言えない」
「…どうして?」
「………」
「言えない?」
「うん」
「俺はそんなに頼りないか…?」
そーいう問題じゃない。
修自身はとっても頼りになるし、人間として素晴らしい。
ただ、あたしが修から逃げたかっただけなの。

