始まりの予感



「見ず知らずの呼び出しには行けて、なんで俺んちには来れないんだよ?普通、友情を優先するだろ」



エイジはかなりわがままだ。
それはもう前々からだけど、さすがにここまで来ると疲れる。



「下心満開のくせして、よくそんな事が言えるね」



自然と顔の筋肉がひきつる。
正論であるかのように堂々としてるから、見てて逆に清々しい気もするけどさ。



「下心以外、他になにがあんだよ?どうせそいつだって下心あるに決まってんだろ」


出たー。出ました、エイジの本音。

ま、知ってたけどね。

っていうか、さも当然かのようにどや顔で言われても。



「自分がそうだからって、他の人までそうだとは限らないでしょ!」



隣を歩くエイジの顔を見上げ、軽く睨み付ける。



「下心以外で出来てる奴なんていねぇよ、いるばずねぇ」



涼しげな顔でそう言うエイジ。


そりゃ、あんたはそうだろうよ。


言い返す気力もなくなり、押し黙った。



「大体体育倉庫に呼び出すっておかしくね?明らかに下心あるだろ。じゃなきゃ、そんな密室に呼び出したりしねぇよ」



ブツブツ言うエイジを無視し、渡り廊下をどんどん進む。


するとどこかで嗅いだどぎつい香りが漂って来た。



「エイジー!」



マリアちゃんが駆け寄って来るのが目に入り、手にしていたラブレターを慌ててポケットの中に仕舞い込んだ。