始まりの予感



「お前ら、いい加減にしろ」


頭上から突然聞こえた怒気を含んだ声。


顔は見えないというのに、その上品な立ち方と思わず漂って来そうな甘い香りにめまいがした。


「ほ、ほら、早くどいて」


ハッとして動きを止めたエイジの胸を押し退け、床に這いつくばってそこから離れる。


「邪魔すんなよ、有明」


床に座り込みながら唇を尖らせ、不機嫌そうにそんな声を出したエイジ。


グッドタイミング有明君。


「ありがとう、有明君」


満面の笑みを浮かべながら有明君にお礼を言ったけど、その顔は険しいままで。


ふんわり優しい王子様の姿はどこにも見受けられない。


な、なにか怒っていらっしゃる?


眉を吊り上げて怒った顔をしている有明君。


私はイスの背に手をかけ恐る恐る立ち上がった。


「あ、有明君?」


あからさまに怒りを露わにしているのは初めて見る光景だ。