始まりの予感



「彼女に言えばいいでしょ」


なんであたしがエイジの相手なんてしなきゃいけないのよ。


「彼女なんていねーもん。シオに言ってんだけど」


「いやいや、おかしいでしょ」


普通、彼女じゃない人を家になんて誘わないし。


そんな事も言わないよね?


「まぁもうどうでもいいけど、いい加減離してくれない?」


話を聞き入れてくれないエイジに段々疲れて来た。

離せって言ってんのにわけのわからない言い訳ばっかり。

終いには家に来いとか。





「ちょ……どさくさに紛れてなに顔近付けて来てんのよ!」


「キスして欲しそうな顔するからだろ?優しい俺はそれに応えてやろうと」


「ふざけんなぁ!ありえない!」


ってか、そんな顔してないけど?

離せって言ってんだけど。


顔を背けて抵抗する私に、エイジはクスクス笑っていて。

こういう状況に慣れているらしいエイジに、恥ずかしい気持ちを見抜かれたくなかった。


「ぶっ、顔真っ赤なんすけど!」


いちいちこいつはまた。

そうやって私の気持ちを見透かしたように笑うんだ。