始まりの予感



「ほ、本気で怒るよ?」


口では強気な態度を取っていても心は全然違う。

ドキドキして恥ずかしくて。

きっと、顔だって真っ赤に違いない。


エイジなんかに真っ赤になりたくないのに。


ゴツゴツした硬い胸板に男を感じて、逞しい腕に温もりを感じる。


なによりも、この状況を嫌だと思わない自分自身が不思議でたまらない。

エイジの腕の中は、想像していたよりも居心地が良かった。


ありえない。エイジなのに。


「シオが悪いんだから責任取れよな」


「はぁ?なんの責任よ?」


「んなの決まってんだろ?」


「わけわかんない」


顔は見えないけどこの声と口調からして、エイジが意地悪な笑顔を浮かべているであろう事を察する。


同時に、良からぬ事を言い出すのではないかという一抹の不安が頭を過ぎった。