「付き合ってないよ、ただの幼なじみだから」


笑顔でそう言うと、マリアちゃんは不思議そうに顔をしかめた。

眉を寄せるその顔もたまらなく可愛い。


「でもラブラブですよねー?どう見ても付き合ってるとしか思えないんですけど」


「マリア、さっさと教室帰れ」


途中で言葉を遮るように、エイジが呟いた。

その声はいつものヘラヘラしているエイジのものとは全く違っていた。


「えー、冷たいなぁ」


そう言うエイジに、マリアちゃんは全く動じる様子を見せていない。


さすがは幼なじみなだけある。


「言われなくても帰るよーだ!では、ノブ先輩、シオリ先輩さよーなら!」


笑顔で手を振るマリアちゃんに、私も笑顔を浮かべてヒラヒラ手を振る。


扉から出て行くマリアちゃんを、エイジはなんとも言えない表情で見つめていた。