全てはお腹の子どものためと思って我慢してみたものの、
やっぱり眠れない夜やふとんから出たくない朝が何度もあった。
そしてそういうとき、私は必ずキーチのことを思い出していた。
彼は今何をしてるのかなとか、深雪ちゃんと一緒にいるのかなとか考えたりして、自分で自分の首を絞めることもあった。
『アウト・オブ・サイト・アウト・オブ・マインド』という言葉があるが、あんなのは嘘だと思った。
会えない時間が長くなれば長くなるほど、自分のキーチへの想いはどんどんふくらむばかり。
マサの横にいながら他の男のことを考えるなんてホント最低だと何度も自己嫌悪に陥ったが、
こればかりはどうしようもなく、精神的に苦しい日々が続くと、
すぐにでもキーチの研究室まで会いに行って、昔のように励ましてもらいたくなったりもした。
けれど、そんなことはできないとわかっていた私は、
心の中でただ彼と過ごした時間を思い返すばかりだった。

