それでも楽しい時間はあっという間で、気がつけば私達はすでに何枚かのお皿をたいらげていた。
つつくものがなくなってくると、顔を赤くしたまおちゃんが箸を置いてしみじみ言った。
「いいなー、赤ちゃん…。うらやましいよ…」
「え…?」
「実はね…、私が離婚した原因って、赤ちゃんができなかったからなんだ…」
そう言ってまおちゃんは涙をこぼした。
まおちゃんの話によると、彼女は結婚後3回妊娠したのだけど、
3回とも初期の段階で流産してしまったらしい。
大学病院で診てもらうと、何度も流産するのは、まおちゃんが染色体異常だからと言われたそうだ。
まおちゃんみたいな人は400人に1人ぐらいの割合でいて、
そういう女性が妊娠しても、ちゃんと赤ちゃんを産める確率は6分の2だという。
「この確率はね、約分して3分の1ってことにはできないんだよ。…だって私、3回も妊娠したのに1人も産めなかったんだもん…」
まおちゃんはそう言って目にハンカチをあてた。

