「あ…、でも私、出産前から市の母子寮に住んでるから、別に子どもとふとり暮らしってわけじゃないんだ…。他の家族や寮母さんにも助けてもらってるから、結構恵まれてるかも」
私は彼を心配させたくなくて、声のトーンを少し上げた。
「…それはそうと、マサは養育費を払ってくれてるの?」
「あ…、それは…」
首を横に振った。
「どうして…?マサはそういう男じゃないだろ?」
キーチは私の目を見て聞いてきたが、
「マサにとって子どもは養育費をもらうような関係じゃないから」なんて答えられるわけがなかった。
キーチは黙って下を向いた私に、「なんか訳ありみたいだな」と言った。
そして背広のポケットからタバコとライターを取り出すと、ゆっくりそれに火をつけた。
私は話題を変えなければと思い、とりあえず普段思っていたことを口にした。
「キーチは…?まだカナダなんだよね?」
「え…?ああ…、うん…、そうだな」
「日本にはいつ頃帰って来るの…?」
「うーん、まだまだ厳しそうだな…。まず俺の代わりが見つからないとダメだしね」
「そっか…」

