私は3階の一室を与えられた。
部屋は6畳2間に押入れや小さな台所がついていたが、トイレや風呂はなかった。
それらは共同のものを使い、風呂掃除やトイレ掃除は当番制で居住者が行なうとのこと。
家賃を考えれば、それも仕方ないだろう。
それでも私はここから始まる新生活に、期待に胸をふくらませていた。
私が入居した夜。
寮母さんや深雪ちゃんや他の家族の人達が、早速私の歓迎会を開いてくれた。
私の部屋に集まってすきやきパーティーをしたのだけど、初対面の方達ともすぐ打ち解けて、会は意外と盛り上がった。
ふたりの子を持つたくましそうなお母さんに、
「この寮には家族旅行ならぬバス旅行もあるからね。ここに住む人達はみんな家族なんだよ」
と言われたときには、自分はひとりじゃないんだという気がしてじーんときた。
私は赤ちゃんとふたりで生きていくつもりでいたけど、
ここにちゃんと家族がいる…。
そう思うと、ものすごく心強かった。

