やっぱり不義を犯した私に愛想をつかしたのだろうか。
確かにマサとは何度も別れたいと思っていたが、最近はそうでもなかったし、いざ別れを匂わされるとなんだかしっくりこない。
彼は窓にかかっているカーテンを引くと、再び枕元にやって来て椅子に腰かけた。
「ごめん…、いきなりこんな話して…。けど俺、子どもが亡くなって、離婚したいって言うミッチに自分は何をしてやれるのかずっと考えてたんだ…。ミッチの言うように別れて、お前のこと自由にしてあげた方がいいのかなって、迷う日が続いた…。けどその一方でやっぱり別れたくないと思う自分もいて、ふと今年の採用試験に賭けてみようと思ったんだ…。東京を受けて、もし受かって上京することになったら、将来的にミッチの家に入ることができなくなるから、これを機にミッチとは別れようって…」
マサの口元は笑っていたが、メガネの奥にある目は笑っていなかった。
「…じゃあ、もし落ちたらどうするつもりだったの…?」
「そうだなあ…」
マサは目を細めた。
「そのときはまたここで講師をしながら、ミッチと一緒に暮らしていこうと思ってたよ」

