私は今、戸籍上はマサの妻だ。
そうすると、私もこの住み慣れたふるさとを離れて、彼と一緒に上京することになるのだろうか。
東京は近いと言えば近いが、県外であることに変わりはない。
これまで気軽に遊びに行っていた大都市が、なんだか急に遠い場所のように思えてきた。
「じゃあ…」
私もマサと一緒に上京することになるのかと聞こうとしたとき、
マサは視線を私に移し、不自然な笑顔を浮かべて言った。
「…で、考えたんだけど…、ミッチはこっちに残れよ」
「え…?」
「だってミッチはひとり娘だから、家を継がなきゃなんないんだろ?」
そういえば、両親は昔からそんなことを言っていた。
父はいずれマサに婿に入ってほしいと、マサのお母さんにもお願いしていた。
「ふるさとって、そう簡単に捨てられないものだぜ?ミッチのお父さん達を東京に呼ぶのも悪いと思うし…、だからミッチはこっちに残れよ。実家帰って子ども産んで家を継いで、いずれそこで英会話教室を開けばいいじゃん」
マサは他人事のように簡単に言った。

