これまた突然の話に、私は手にしていたカップを落としそうになった。
「兄貴が結婚するって話が出て、久々に親父と会ったんだけど、親父、少しだけど俺の結婚資金も貯めてあるから、必要になったらいつでも言えよって言ってくれたんだ…。それで俺、自分は一生結婚しないと思うから、代わりにその金で留学したいって言ったんだよ。そしたら親父、すんなり承諾してくれてさ…。ちょっと前からその準備を進めてたんだ…」
「どこに行くの…?」
「ニュージーランド。安くあげたいからね」
キーチと別れ、このまま日本でコージさんの側にいたいと言っていた深雪ちゃんの顔が浮かんで、なんとも言えない気持ちになった。
「とりあえずはコミュニティ・カレッジのESSコースから始めて、いずれそのまま本コースに進めたらいいなって考えてて」
「どのくらいあっちにいるの…?」
「まだわかんないけど…、向こうで様子をみながらかな」
コージさんはそう言って、再びコーヒーに口をつけた。

