「それはまあ…、兄貴に対する罪悪感もあったけど…、お腹の子が本当に自分の子かどうか、疑う気持ちが強かったからかな…」
彼は自分で自分をあざ笑うかのように言った。
「そんなの…、深雪ちゃんがそう言うんなら、そうに決まってるんじゃないの…?」
すると彼は真面目な顔で言った。
「けど、あいつと一緒になるにしても、俺はこういう生活スタイルを崩す気がなかったし、そんな男が妻子を幸せにできるはずないと思ったから…」
「それで、自分から彼女の手を離してしまったって言うの…?」
コージさんはゆっくりうなずいた。
「何、それ…」
私の中にふつふつと沸き起こってくる感情があった。
男という生き物は、どうしてこう勝手なんだろう。
深雪ちゃんに同情せざるを得なかった。

