「それで…、いつしか兄貴に隠れて連絡取ったり、ふたりでこっそり会うようになってたんだけど…、そんなことしてたから、バチがあたったんだな…」
彼は前髪をかき上げると、大きくため息をついた。
「去年の夏、いきなりあいつが妊娠したって言ってきたんだ…」
「え…?」
「そして、それが俺の苦しみの始まりだった…」
コージさんが抱える苦しみ…。
いつも明るく前向きな彼に、それほど大きな悩みがあるなんて考えたこともなかった。
私は自分が知っていることをなんとか彼の話と結びつけようとした。
「苦しみって…、深雪ちゃんがキーチの子を妊娠したから、別れることになったってこと…?」
するとコージさんはそれを否定した。
「いや…、深雪は最初、俺の子を妊娠したって言ってきたんだ…」
「え…?」
「俺…、あいつに『ふたりで兄貴に謝ろう、結婚して一緒に子どもを育てよう』って言われたんだよ…」
「うそ…」

