「けど…、深雪ちゃんは大学に入ってからキーチと付き合ってたんだよね…?コージさんはいつ彼女と知り合ったの…?」
私がふとたずねると、彼は遠くを見るようなまなざしで答えた。
「…あいつが兄貴と付き合い始めた、まさにその頃だよ」
私はおのずと彼の話に耳を傾けていた。
「俺、よく兄貴の部屋に顔を出してたんだけど、その度に彼女も兄貴んとこに来ててさ…、それからだよ、深雪といろいろ話すようになったのは」
コージさんは昔を愛おしむように語った。
「それで、深雪ちゃんのことを好きになっていったってわけ…?」
コージさんはうなずいた。
「みちるとも気が合うところがあるけど、深雪とはそれ以上に考え方や趣味が一致してさ、すぐに意気投合したんだ…。あんなに自分に合う子はもういないって思えるくらい」
「そうだったんだ…」
そう言われると、私も深雪ちゃんと考え方や好みが似ているなあと思ったことがある。
私がコージさんと波長が合うように、深雪ちゃんとコージさんも惹かれ合うところがあったというのか。

