涙で湿った便箋をめくり、最後の手紙を読んだ。
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老婆心かもしれませんが、好きな人と一緒になれないからと言って、あなたはこのまま優くんと気の向かない結婚をしてしまって本当にいいのでしょうか?
確かに優くんはいい青年です。
あなたのことを大事に思ってくれているし、生まれてくる子のことも自分の本当の子どものようにかわいがってくれるでしょう。
でももしあなたの中に少しでも納得できない気持ちがあるなら、私はこの話を再度白紙に戻してもいいのではないかと思うのです。
お父さんとお金のことは、私もなんとかしたいと思います。
だからどうか、悔いのない決断をしてください。
母として、あなたの幸せを祈っています。
母より
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母は全てお見通しだった。
血はつながっていないが、私の気持ちをちゃんと理解してくれているのだ。
やっぱり自分の母親は彼女だけだと思った。

