1枚目の手紙はそこで終わっていた。
私はパンドラの箱でも開けるかのように、その便箋をめくった。
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私はあなたを産んだ本当のお母さんの、高校時代からの友人でした。
そしてあなたのお母さんに婚約者だというお父さんを紹介されたときから、お父さんのことが好きでした。
(あなたにとってお父さんは口うるさい頑固親父かもしれませんが、真面目で真っすぐで、すごく頼りがいのある素敵な人なんですよ。)
あなたのお母さんには言えませんでしたが、ふたりが結婚した後も私は密かにお父さんのことを想っていました。
どうしてもあきらめきれなかったのです。
だからあなたのお母さんが亡くなった後、不謹慎とはわかっていましたが、ここぞとばかりにお父さんに気持ちを打ち明け、お父さんと一緒にあなたを育てたいと申し出ました。
最初はあっけなく断られましたが、お父さんも男手ひとつであなたを育てるのが厳しかったみたいで、結局私と再婚することを承知してくれました。
そしてそれが私達家族の始まりでもあったのです。
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