4月にマサと入籍するというのは去年の秋から出ていた話で、何も今初めて聞く話ではない。
今回マサの家に戻ったときに、私は覚悟を決めていたはずだった。
けれど、
いざ『入籍』という言葉を聞くと、まだ心の準備ができていないことに気がついた。
「どうした…?」
マサが私の顔を覗き込む。
私は考えていた。
こんな人生、マサにくれてやってもいい…。
でも、それは人生をあきらめてしまった私の声であって、本心からの叫びではない。
婚姻届を出したら最後、今度こそ本当に自分が自分でなくなってしまうだろう…。
私は急に怖くなって、できれば婚姻を1日でも先延ばしにしてほしい心境に駆られた。
何か理由をつけてマサに頼み込もうかと思ったが…
少し遅かった。

