今日マサがいつものように面会に来たら、私は自分の決心が鈍らないうちに、マサに結婚を断ろうと思っていた。
けれど、
なぜかマサはやって来なかった。
次の日も、次の次の日も、マサは一向にやって来なかった。
どうかしたのかなとは思ったが、マサのことだからいずれまた来るだろうと思って、私は特に気にかけずにいた。
再び深雪ちゃんに会ったのは、彼女と再会を果たしてから4日ほど経った日のことだった。
彼女が話がしたいからと言って、病室まで会いに来てくれたのだ。
私が「退屈してたからちょうどよかった」と言うと、
彼女は「先輩、娘がやっと保育器から出て、普通のベッドでの入院になったんですよ!」と声を弾ませた。
聞けば、赤ちゃんはきのうまで保育器の中で手の甲に点滴を打たれ、裸の胸に心電図用の電極をつけられ動けずにいたのに、
今日は産着を着てベッドに寝かせてもらっていたので、抱っこしておっぱいをやることができたのだそうだ。
「せっかくなんで自分でオムツも換えちゃいました」
彼女は嬉しそうに笑った。

