マサは私にあきれたかのように、大きくため息をついた。
「嘘じゃないけど…、忘れた方が絶対ミッチと子どものためなんだって…。ミッチだってそれくらいわかるだろ…?」
マサの言い分は確かによくわかる。
けれどこのとき私の心はどうにかなっていて、
絶対に言ってはいけないことを言ってしまった。
「それはわかるけど…、よくわかるけど…、私…、やっぱりキーチのことが好きなの…!」
その瞬間、マサはすごい力で私を押し倒し、私の首に両手をかけた。
「ミッチにそんなこと言われたら、俺はどうなるんだよ…?」
こんなふうに怒るマサは初めてだった。
「未来のない行き止まりの恋なんかして、何が楽しいんだよ…?キーチはもう深雪ちゃんのものなんだぞ。それでもあいつがいいって言うのかよ…?」
マサは私の首を絞める手に徐々に力をかけていった。
「俺と子どものことも少しは考えてくれよ…!」
朦朧としていく意識の中で、
私はただ彼のメガネに落ちる涙を見ていた。

