「別にいーじゃん」 あたしは頬を膨らませた。 「俺は嫌なの」 綾斗も頬を膨らませた。 「魅和ちゃんだって、 俺の前髪が嫌だって言った。 だから上げてんのに」 あー。 そんなこともあったっけ。 あたしはとにかく、 長い前髪がだいっきらいだった。 綾斗には、ずいぶんわがままを聞いてもらったしなぁ…。 「わかったよ」 あたしはしぶしぶおっけーした。 「ありがと」 綾斗は優しく微笑んだ。