『ミカさんはまだ…雷斗が…?』

「ううん…初めの頃は雷斗が好きだったけど…今ね…学校の先生が好きなの」

ミカさんは
顔を赤らめながら,答えた

『先生ですか?』

「うん…最初はうざいって思ってたけどなんか…ねっ…いつの間にか好きになってたんだ…もうすぐ卒業だし…卒業までには告白したいなって思ってる…内緒だょ?笑」

ミカさん…
可愛い…

ミカさんは前に進んでいるんだ…

『いいですね…私は…いつまでたっても前に進めないんです…雷斗が初めてだったから…恋の忘れ方なんて知らなくて…』

「理沙ちゃん…無理に忘れなくてもいいんじゃないかな…?それだけ雷斗は理沙ちゃんにとって大きな存在だったんだよね…?だったら…諦めないで,好きでいてもいいと思う…後は,時間に任せて…時間が経つと忘れていくものだから…」

「今日,いた人だって…理沙ちゃんにとっては大切な人でしょ?」

ルウの事…?

『ルウは…雷斗に振られて笑えなくなってしまった私にもう一度笑う事を思い出させてくれました…ルウは海のような存在です…大きくてグルグルと私を巻き込んでいきます…でも,全然嫌じゃなくて…なんか…もう分かりません…』

「理沙ちゃん…焦らないで…今の理沙ちゃんには雷斗しか見えてないかもしれないけど…ちょっと周囲に目を向けてみたらいいんじゃないかな…新しい物が見えてくると思うから…」

ミカさんはそう言って
部屋を出て行った

周囲に目を向ける…か…

ふと,ルウの笑顔が
頭に浮かんだ

ルウ…悪いことしちゃったな…

私は,携帯を持ち
電話帳を開いた

新規メールを作成した相手は

‘王子’

[今日は色々とごめんね…]

送信っ…

返ってくるかなぁ…

私はその間に
部屋着のワンピースに着替えた

すると,

♪~♪~♪~♪~

着信を知らせる
音楽が鳴った

開くと…,

‘王子’

だった…

メールで返ってくると
思っていたからビックリした

私は深呼吸をして
応答を押した