彼はただ腕を組み換えただけだった。 心の中で、何て言おうか迷っているのだろうか。 だったら何の心配もいらないことを教えてあげたい。 私は全然大丈夫だよ、って。 彼に特に未練もないし。 逆ギレされて殴られたりするかもしれないから、言わないけど。 心の中でそんなことを思いながら、私は視線を地におとした。 …………私だって、別に傷つかないわけじゃない。