そうだった。
私は合否のことで頭がいっぱいで、
彼に面接を受けたこと、
それ以前にアルバイトを始めることを
伝えていなかった。
「あ、ごめん。伝えそびれちゃった。
私ねアルバイトの面接をうけて...」
『俺らさ、隠し事とかやめようって
いつも言ってるよな?』
あぁ、だめだ。全然きいてくれない。
高校に入ってから離れ離れになり、
お互いに隠し事は絶対しないって約束を
ついこの間したばっかりだった。
彼はきっと、アルバイトを始めたことより
隠し事をしてたことに怒っている。
「あ、あのね。別に隠してたつもりは
ないんだよ。ただ、本当に言いそびれてた
だけなんだよ。」
違う意味で声が震える。
怖い。怖い。怖い。
何かが崩れていくような。
このまま何かが終わってしまうような。
そんな気がしていた。
「本当にごめんね。」
その夜私は震える声で必死に謝った。
何度も何度も謝り続けた。