その日のよる、
久々に私は彼に電話をした。

アルバイトに合格したことを伝えたくて。




「もしもし。今大丈夫かな?」


久しぶりの電話でなんだか変に
緊張する。


『うん、平気だよ。なんかあった?
姫奈子が自分から電話かけてくるなんて
珍しいな。』


あぁ、やっぱり落ち着く。
この声を聞くだけで元気が出る。


「あのね。私、アルバイトに合格したの。
ABCフードなんだけど。
すごく楽しそうで。それでね!」


『なにそれ。』

「へっ?」



初めてだった。

こんなに低くて怖い声を出されたのは。
そして、話を途中で妨げられたのは。

いつもなら優しく私の話を聞いてくれる彼。



「ど、どうしたの?そんな怖い声だして。
もう、やめてよ。あははは....」


私は笑ってごまかそうとした。


『え、なに笑ってんの?
てかさ、俺バイトするとか聞いてないし。』