彼女のすべてを知らないけれど


「分かればいいのよ。食べ物があるだけでありがたいことなんだから」

ウィンクルムはつっけんどんに言い、頭にあった俺の手から逃げるように皿を取ろうとした。さっき、調理をしながら、食器の置き場所は説明していた。

「取ってきたわよ」

ウィンクルムはテーブルに二枚の皿を並べると、ムッとした顔でこっちを向いた。

「どうしたの?」

「今の、もう一回やりなさいよ」

「え?今の、って?」

「私は、あなたの分まで皿を取ってきたわ。偉いでしょう?」

「……!そういうこと!」

ウィンクルムは、頭をなでてほしいと言っているんだ。

なんていうか、素直に「頭なでて」と言ってくれればいいのに、そうできないとこが彼女らしい。いじらしくて、胸が、キュンとなる。

「ありがとう。ウィンクルム」

俺は、さっきより長めにウィンクルムの頭をなでてあげた。

「別に、なでてもらいたくてお皿を出したわけじゃないんだからね!」

「わかってるよ」

「ふん」

怒ったような言動とは裏腹に、ウィンクルムはしばらくの間、俺の手から逃げようとはしなかった。

なでられるの、好きなのかもしれない。立ち居振舞いは普通に人間の女の子だけど、猫らしさは健在みたいだな。