彼女のすべてを知らないけれど


「ありがとう」

ウィンクルムの頭をポンポンと軽くなで、俺は言った。

「その気持ち、嬉しいよ。ありがとう」

「あなたって…………」

「ん?」

「ドMね」

思わぬことを言われ、俺は声を裏返しながら、

「なっ!! 普通に感謝してるだけなんだけどっ!

ていうか、猫だったのに、そういう言葉をどこで覚えてきたの君はっ!」

「駅に捨ててあったライトノベル」

「そこ、真面目に答えてくれてありがとう」

呆れ声でそう返す以外に、できることはなかった。


こんな調子で、これから、大丈夫なのかなぁ?


ほんの少しのワクワクと、大量の不安感を抱えつつ、俺は、元猫ウィンクルムと暮らしていくことになったのである。