彼女のすべてを知らないけれど


ウィンクルムの言葉は、胸にズシッとのしかかる。

今まで俺は、街のいたるところにペットショップが存在することを当たり前だと思っていた。亡くなったクロムも、今実家にいる猫も、父さん達がペットショップで買った。

店によって値段の差があっても、ある程度金銭的な余裕があれば、誰でもペットを飼える時代。ペット可の賃貸物件だって、近年増えてるそうだ。

それだけ、動物と暮らすことを望む人が居る証拠。

俺も、クロムがいてくれたことで、精神的に救われたことがたくさんある。

友達とつまらないケンカをしてしまった時や、試験の結果がいまいちだった時。

生きていると、悩みが出てくる。そういう、どうしようもない心のモヤモヤを晴らしてくれたのがクロムの存在だった。


だけど、それは人間のワガママ勝手なんだろう、と、ウィンクルムの話を聞いて思った。


「私はもう寝るわ」

「さっきまで寝てたのにっ!?」

「人間の体に、気力がついていかないのよ。話すことって、想像以上に疲れるわね」

「そっか……。そうかもしれないね。おやすみ」

ベッドルームに戻るウィンクルムを見送り、俺は然に電話をした。