うつむく俺に、彼女は大人びた口調で追撃してくる。
「見たところ、あなた大学生みたいだけど、その記憶力で、よく入試に受かったものね。日本の教育は甘いのね」
「なっ!」
どうしてそこまで言われなきゃいけないんだ。自分が特別天才だなんて思わないけど、こっちのことよく知りもしないクセにひどいことを言ってくれる。
でも、次の瞬間、俺は怒りを忘れた。
「これ、あなたが私にくれたものでしょ? 忘れたとは言わせないから」
枕元をゴソゴソし、彼女が手にしたもの。それを見て俺は、言葉を失った。
「それは! 然にもらった、命守流願望成就札……!」
いなくなったロシアンブルーにあげたはずの、願いが叶うお守り。なぜ、このコが持ってるんだ?
「君は、そのお守りを、どこで拾ったの?」
命守流願望成就札は、ごくわずかな人しか知らない、限定品。
「まだ分からないの?」
彼女は、つまらなさそうに言った。
「私は、あなたに保護された猫なの。今は、長年の願いが叶い、こうして人間になれた。それだけのこと」
「ええええ!?」
このコは…いや、あの日助けたロシアンブルーは、俺が置いていったお守りを使って人間になったというのか!?


