彼女のすべてを知らないけれど


服を着せている最中、俺はあることに気付いた。

彼女の両足には、目立つ傷痕があったのだ。失礼かなと思いつつ、こんな大きな傷、どうやって作ったんだろうと凝視してしまった。

服を着た彼女をベッドに座らせ、俺は訊いた。

「ねぇ、君はどうして、ここにいたの? 誰かに連れてこられたの?」

中学三年生くらいか。偉そうな口調とは真逆に幼い顔立ちの彼女に、俺はなるべく優しい言い方を心がけた。

なのに、彼女が発する言葉は、さっき顔に当てた濡れ布巾なみにそっけない冷たさを放っていた。

「自分の胸に手を当てて考えてみなさいよ。それくらい分からなくてどうするの? あなた、バカ?」

「そんなこと言われても……。初対面なのにひどい言い様だな」

俺はしり込みしてしまう。手厳しいコだな。こんなにツンケンした女子と話すの、初めてだ。

どうしたって、分かるわけないじゃないか。見ず知らずの女の子がいつの間にかベッドで寝てる理由なんてさ。