彼女のすべてを知らないけれど


「ふぅ」

短くため息をつき、ミコトは言った。

「お前は、神の存在を信じていないのか? 」

「神?」

俺は、どう返せばいいのか分からなかった。ポカンとした面持ちでミコトを見る。

「いまいち、伝わっていないようだな」

呆れた顔で、ミコトは説明した。

「もう一度言う。我は、命を司る神だ。世界に唯一無二の、な。

なぜ、我がお前の前に現れたのか、それを教えてやろう。

お前は、命守(みことのもり)神社の、命守流願望成就札を持っているだろう」

「みことのもりりゅう、がんぼうじょうじゅ、ふだ?」

「これのことだ」

スマホの電波を遮断した時のように、また、何らかの術を使ったのだろう。ミコトの手には、俺のバッグに入っていたはずの朱色お守りが収まっていた。さっき、然にもらったものである。

命守神社とは、然の家族が営む神社の名前だった。