彼女のすべてを知らないけれど


「神? ミコト??」

夢でも見ているのか?

俺は自分の頬を両手のひらでパンパンと強く叩き、目を覚まそうとした。紛れもない現実。

次の瞬間、俺は頭を抱えた。

一人暮らし始めて早々、変 な泥棒に出くわしてしまった!! どうしよう。

いや、悩むことはない。警察に通報すればいいんだ。

俺はパンツのポケットからスマホを取り出し、素早く耳に当てた。かけた先は、110。

「あの、家に怪しい人が入り込んでてっ! !」

電話がつながるなり、必死に言葉を発 したが、なぜか、相手の反応は返ってこず、「ツー、ツー」と、無機質な電子音が聞こえるだけ。切られた?

「電波の無駄遣いはやめろ」

男は言い、テーブルからスッと床に下りると、片手を上げた。その瞬間、しっかりにぎっていたはずのスマホが瞬間移動したかのように、男の手に渡った。まばたきをする間もなく、スマホを取り上げられてしまったのだ。

「ちょ! 返してくださいっ!」

「嫌だねっ。誰が返すか」

「俺のなんですけど!」

「通報したってムダだ。たとえ警察がここにたどり着いたとしても、やつらには我の姿が見えない」

「ええ~!? そんなバカな! 俺の目には見えてるんですけど!」